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区分所有法 第一章 建物の区分所有 第七節 義務違反者に対する措置 第五十七条(共同の利益に反する行為の停止等の請求)から第六十条

 

   区分所有法第57条から第60条までは、義務違反者に対する措置について規定しています。

   第6条1項及び3項で区分所有者及び区分所有者以外の専有部分の占有者である賃借人等に対し、建物の保存に有害な行為その他建物の管理又は使用に関して区分所有者の共同の利益に反する行為を禁止しています。

   そして、区分所有法第57条から第60条までの規定で、区分所有者がそのような行為をする者に対して、集団として執ることができる措置を規定しています。

 

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区分所有法  

第一章 建物の区分所有

第七節 義務違反者に対する措置

 

義務違反に対する措置は、

  ❶行為の停止等の請求

  ❷使用禁止

  ❸所有権の競売

  ❹引き渡し請求

がある。❶行為の停止等の請求は訴訟外でも行えるが、❷❸❹は必ず訴訟上の手続を行い勝訴する必要がある。

 

 

 

 

第五十七条(共同の利益に反する行為の停止等の請求)


(共同の利益に反する行為の停止等の請求)
第五十七条 区分所有者が第六条第一項に規定する行為をした場合又はその行為をするおそれがある場合には、他の区分所有者の全員又は管理組合法人は、区分所有者の共同の利益のため、その行為を停止し、その行為の結果を除去し、又はその行為を予防するため必要な措置を執ることを請求することができる。

 

第6条第1項は次のとおり。

 

(区分所有者の権利義務等)
第六条 区分所有者は、建物の保存に有害な行為その他建物の管理又は使用に関し区分所有者の共同の利益に反する行為をしてはならない。

 

まとめると、区分所有者又は占有者が、共同利益相反行為をしたり、する恐れのある場合は、他の区分所有者の全員又は管理組合法人は、行為の停止、行為の結果の除去、行為の予防措置を請求することができる。ということである。

 


2 前項の規定に基づき訴訟を提起するには、集会の決議によらなければならない。

 

共同利益は違反行為の停止等の請求を訴訟上で請求する場合は、集会の普通決議が必要である。

訴訟外で、口頭又は書面などで請求することもできる。この場合、管理者が請求することも、集会の決議で請求することもできる。

 


3 管理者又は集会において指定された区分所有者は、集会の決議により、第一項の他の区分所有者の全員のために、前項に規定する訴訟を提起することができる。

 

管理者又は集会で指定された区分所有者を原告として訴訟を行うには、そのつど、その旨の集会の普通決議が必要である。

 


4 前三項の規定は、占有者が第六条第三項において準用する同条第一項に規定する行為をした場合及びその行為をするおそれがある場合に準用する。

 

第6条第3項は次のとおり。

 

第六条 区分所有者は、建物の保存に有害な行為その他建物の管理又は使用に関し区分所有者の共同の利益に反する行為をしてはならない。
2 区分所有者は、その専有部分又は共用部分を保存し、又は改良するため必要な範囲内において、他の区分所有者の専有部分又は自己の所有に属しない共用部分の使用を請求することができる。この場合において、他の区分所有者が損害を受けたときは、その償金を支払わなければならない。
3 第一項の規定は、区分所有者以外の専有部分の占有者(以下「占有者」という。)に準用する。

 

前3項の規定は、共同利益背反行為をした占有者に準用する。

 

 

第五十八条(使用禁止の請求)

 

(使用禁止の請求)
第五十八条 前条第一項に規定する場合において、第六条第一項に規定する行為による区分所有者の共同生活上の障害が著しく、前条第一項に規定する請求によつてはその障害を除去して共用部分の利用の確保その他の区分所有者の共同生活の維持を図ることが困難であるときは、他の区分所有者の全員又は管理組合法人は、集会の決議に基づき、訴えをもつて、相当の期間の当該行為に係る区分所有者による専有部分の使用の禁止を請求することができる。

 

使用禁止の請求をするときは、集会の特別決議を経て、必ず訴訟上で請求しなければならない。

 


2 前項の決議は、区分所有者及び議決権の各四分の三以上の多数でする。


3 第一項の決議をするには、あらかじめ、当該区分所有者に対し、弁明する機会を与えなければならない。


4 前条第三項の規定は、第一項の訴えの提起に準用する。

 

 

第五十九条(区分所有権の競売の請求)

 

 (区分所有権の競売の請求)
第五十九条 第五十七条第一項に規定する場合において、第六条第一項に規定する行為による区分所有者の共同生活上の障害が著しく、他の方法によつてはその障害を除去して共用部分の利用の確保その他の区分所有者の共同生活の維持を図ることが困難であるときは、他の区分所有者の全員又は管理組合法人は、集会の決議に基づき、訴えをもつて、当該行為に係る区分所有者の区分所有権及び敷地利用権の競売を請求することができる。

 

区分所有権及び敷地利用権の競売請求をするときは、集会の特別決議を経て、必ず訴訟上で請求しなければならない。

 


2 第五十七条第三項の規定は前項の訴えの提起に、前条第二項及び第三項の規定は前項の決議に準用する。


3 第一項の規定による判決に基づく競売の申立ては、その判決が確定した日から六月を経過したときは、することができない

 

区分所有権及び敷地利用権について競売請求ができるという不安定な状態を長期間続けないためである。

 


4 前項の競売においては、競売を申し立てられた区分所有者又はその者の計算において買い受けようとする者は、買受けの申出をすることができない。

 

競売を申し立てられた区分所有者本人や、その者と直接の利害関係がある者は、買受けの申し立てをすることができない。そのような者が買受けたのでは、この制度の目的が達成できないからである。

 

 

第六十条(占有者に対する引渡し請求)

 

(占有者に対する引渡し請求)
第六十条 第五十七条第四項に規定する場合において、第六条第三項において準用する同条第一項に規定する行為による区分所有者の共同生活上の障害が著しく、他の方法によつてはその障害を除去して共用部分の利用の確保その他の区分所有者の共同生活の維持を図ることが困難であるときは、区分所有者の全員又は管理組合法人は、集会の決議に基づき、訴えをもつて、当該行為に係る占有者が占有する専有部分の使用又は収益を目的とする契約の解除及びその専有部分の引渡しを請求することができる。

 

使用又は収益を目的とする契約とは、当該専有部分の所有者と当該占有者との間の賃貸借契約又は使用貸借契約等であり、転貸借契約であることもある。

 

この貸主と借主との契約関係について、契約当事者以外の者の請求に基づいて、解除の効果を生じさせる形成の判決なので、この訴訟は、 貸主と借主の双方を共同被告として提起しなければならない。

 

占有者に対する引渡し請求をするときは、集会の特別決議を経て、必ず訴訟上で請求しなければならない。

 

 

2 第五十七条第三項の規定は前項の訴えの提起に、第五十八条第二項及び第三項の規定は前項の決議に準用する。


3 第一項の規定による判決に基づき専有部分の引渡しを受けた者は、遅滞なく、その専有部分を占有する権原を有する者にこれを引き渡さなければならない。

 

専有部分の引渡しは、貸主ではなく、原告である管理組合法人又は管理者等への引渡しである。

 

専有部分の引渡しを受けた原告は、遅滞なく、その専有部分を占有する権限を有する者である区分所有者に引渡さなければならない。

 

 

以上、区分所有法、第七節 義務違反者に対する措置、第57条(共同の利益に反する行為の停止等の請求)第58条(使用禁止の請求)第59条(区分所有権の競売の請求)第60条(占有者に対する引渡し請求)をまとめてみました。マンション管理士試験に向けて日々学習しています。その学習した知識をブログに書き、知識の確認と定着を試みようとしています。

 

 

出典:e-Govウェブサイト(https://www.e-gov.go.jp

「建物の区分所有等に関する法律」(総務省)
http://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=337AC0000000069)を加工して作成)を加工して作成

 

参考文献

公益財団法人 マンション管理センター.平成30年度版 マンション管理の知識.(株)住宅新報出版,2018,978p

高橋文雄 .2018年度版 これだけ!マンション管理士 試験対策ノート.(株)建築資料研究社,2018,513p

 

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